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脱ワープロソフトのすすめ

はじめに

ここではWindowsでワープロソフトを使わずに文書を作成する方法を紹介します。以下で紹介する方法ならワープロソフトよりも見栄えのいい文書を簡単に作成できます。

Inkscape

Inkscapeはベクターイメージを編集するためのアプリケーションですが、ビジネス文書のような短い文書であれば簡単に作成できます。ワープロソフトとの大きな違いはテキストやイメージを自由にレイアウトできることです。この特長を活かしてポスターやパンフレットのようなものを作成することもできます。詳細についてはInkscapeでDesignを参照してください。

Tex

TeX(テフもしくはテック)は高度な組版作業を自動化します。TeXを利用すればワープロソフトよりも効率的に文書を作成できます。詳細についてはTeX Wikiを参照してください。

TeXの特長

ワープロソフトと違いTeXによる文書作成ではフォントのサイズやスペースのとり方などを気にする必要がありません。文書の見た目についてはすべてTeXが面倒を見てくれます。ユーザが文書の見た目についてやるべきことは、あらかじめ用意されたドキュメントクラスを指定することだけです。文書の見た目を独自に調整することもできますが、その必要はほとんどありません。精緻に組版されるので印刷の仕上がりはとてもきれいです。見出しや箇条書きの連番を割り振ってくれたり、目次や索引を生成してくれたりもします。書誌情報を管理する機能もあります。

TeXの処理系

Texはマークアップされたテキストファイル(*.tex)をコンパイルしてPDFファイル(*.pdf)を出力します。文書の作成にはLaTex(ラテフもしくはレイテック)という処理系を使用します。以前はpLaTex/upLaTexという処理系を使用していましたが、最近ではLuaLaTeX/XeLaTeXという処理系を使用するのが一般的です。両者の大きな違いは次のとおり。

pLaTex/upLaTex LuaLaTeX/XeLaTeX
既定のフォントしか使用できない 既存のフォントを自由に使用できる
DVIファイルを出力してからPDFファイルに変換する 直接PDFファイルを出力する

ここでは処理系およびドキュメントクラスとしてLuaLaTeX/jlreqを使用することにします。jlreq日本語組版処理の要件を満たしているドキュメントクラスです。

TeXに必要なもの

TeXを使用するために必要なものは以下の3つです。

TeXディストリビューション TeX-Live
TeXエディタ1 LyX
PDFビューア SumatraPDF

TeXディストリビューションには組版に必要なプログラム(パッケージ)が含まれています。TeXエディタはTeXを使いやすくする統合環境です。ここで紹介しているLyXを使用すれば、ワープロソフトのようなインターフェイスで文書を作成・編集できます。PDFビューアは組版処理されたPDF形式の文書を確認するために使用します。2

TeX-Liveのインストール

TeX-Liveについては、フルインストールではなく必要なパッケージのみをインストールするようにしたほうがいいでしょう。選択すべきパッケージについてはTeX Live 2023のインストールが参考になります。ポータブルアプリケーションとしてインストールしたいのであればUSBメモリ活用講座【実践編・TeX文書作成環境ポータブル化】を参照してください。

LyXのインストール

LyXの公式サイトから最新のインストーラをダウンロードします。インストールについてはLyX - TeX Wikiを参照してください。

LyXの設定

LyXを起動したらメニューから [ツール] > [TeX情報] を選択します。LyXがTeXを認識していれば、表示されたダイアログのリストにファイル名(*.cls)がリストされるはずです。ファイル名がリストされないのであれば、以下のようにしてLyXにTeXのインストールフォルダを教えてやる必要があります。

  1. メニューから [ツール] > [設定] を選択して左のリストから[パス]を選択します。
  2. [PATH接頭辞]にTeXのインストールフォルダへのパスを追加します。
  3. メニューから [ツール] > [環境構成] を選択します。
  4. メッセージダイアログが表示されたら[OK]をクリックしてLyXを再起動します。

LyXには2つの設定メニュー [ツール] > [設定] および [文書] > [設定] があります。前者がアプリケーションの設定であり、後者が文書に関する設定です。詳細についてはLyX/設定 - TeX Wikiおよび日本語環境のためのLyXの初期設定を参照してください。LuaLaTeXのみを使用するのであれば(u)pLaTeXについての説明は無視してかまいません。ImageMagickはLyXと一緒にインストールされるので別途インストールする必要はありません。

文書の作成を始める前に以下のようにして文書のドキュメントクラスおよび文書で使用するフォントの設定を済ませておく必要があります。フォントの指定方法についてはLuaTeX-ja - TeX WikiおよびLuaTeX-jaの使い方を参照してください。

  1. LyXを起動します。
  2. レイアウトファイルの追加にしたがってドキュメントクラス(jlreq)を追加します。
  3. メニューから [文書] > [設定] を選択します。
  4. 左のリストから[文書クラス]を選択しドキュメントクラスとして[JLReqクラス]を選択します。
  5. 左のリストから[フォント]を選択して[非TeXフォントを使用]をチェックします。
  6. 左のリストから[LaTeXプリアンブル]を選択して文書で使用するフォントを以下のように指定します。
\usepackage[bizud]{luatexja-preset}
  1. [文書の既定値として保存]をクリックします。
  2. [OK]をクリックします。

所望のPDFビューアが立ち上がるようにするには以下のようにします。

  1. LyXを起動します。
  2. メニューから [ツール] > [設定] を選択します。
  3. 左のリストから [ファイル処理] > [ファイル形式] を選択して[形式]から[PDF (LuaTex)]を選択します。
  4. [閲覧ソフトウェア]から[詳細設定]を選択してPDFビューアのパスを指定します。
  5. [OK]をクリックします。

LyXを単一のウィンドウで使用したい場合は以下のようにします。

  1. LyXを起動します。
  2. メニューから [ツール] > [設定] を選択します。
  3. 左のリストから [操作性] > [文書処理] を選択して[単独インスタンスを使用]をチェックします。
  4. 左のリストから[パス]を選択して[LyXサーバパイプ]に\\.\pipe\lyxpipeを指定します。
  5. [OK]をクリックします。

LyXのチュートリアル

LyXの基本的な使い方についてはヘルプのチュートリアルを参照してください。LyX/使い方 - TeX Wikiにも目を通しておくといいでしょう。

Beamerクラス

Beamerはスライドを作成するためのドキュメントクラスクラスです。メニューから [ヘルプ] > [用途別説明書] > [Beamerプレゼンテーション] を選択するとBeamerを使用した説明が表示されます。設定については今さら人に聞けない「日本語でBeamer」のキホンを参照してください。


  1. TeX-LiveにはTeXworksというTeXエディタが含まれていますがTeXのコマンドを直接記述する必要があります。 ↩︎

  2. TeXworksをPDFビューアとして使用することもできます。 ↩︎